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築後90年程の町家のリフォーム。
２階建の３軒長屋で、間口２間半、奥行き５間の真ん中の家であったが、15年程前、東隣が切り離され、今風の３階建になり、
取り残されたような２軒長屋になった。住居、倉庫、事務所等、様々に改造を重ねて使い続けられ、京町家の風情は消失しており、
雨漏り、床の軋み等々、騙し続けられなくなってのリフォームである。
常時付き合うたくさんの書籍やカタログ類の資料の落着き先を探してやる事から計画はスタートした。
既に床が貼られ、台所となっていた往年の通り庭部分を、１、２階を貫通して資料棚に充て、設計スペースと柔らかな関係で
結んでやろうと思い立ったのは、自然な発想であった。この細長い吹抜けが、上下階の一体化を計り、狭い平面に広がり感と、視覚的な変化を与えてくれる事を確信した。
往年の生活の工夫である通り庭が、設計の知恵袋の場に変貌した。１階は３人のスペース、２階は１人＋打合せ応接スペース兼
模型制作スペースで、和を基調として、一部堀座卓型式としている。南面する道路側には、直射日光を避ける為に黒塀を設けて、
控え目ながら、事務所の顔とした。 ホームページに紹介している作品の大半は、この場所で生まれたものである。
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